作詞少女

昨日の更新では、Imaginary School Daysという自作曲の歌詞を公開した。その詩を書くに当たり、私はこの本を参考にした。いい本だったのでレビューしたい。

作詞少女 詩をなめてた私が知った8つの技術と勇気の話

本書は作詞のための実用的なハウツー本であるとともに、作詞や創作をテーマにしたラノベ風の小説もである。読み物として凄く面白い上、これを読めば作詞という作業についての具体的な方法がわかる。

今まさに作詞をしたいが、どう書けばいいかわからない人、作詞の具体的なテクニックを知りたい人におすすめの本である。また、創作行為や自己表現というものについての広い見通しを得たい人にも勧めたい。

といっても本書は気軽に読めるラノベでもある。バンドをやっている同級生に作詞を頼まれた、ちょっと夢見がちだけど実は平凡な女子高生が物語の主人公である。主人公は、プロの作詞家でありハードな変人である同級生女子の弟子となり、作詞と創作と人間について、作詞の作業を通じて学んでいく。

師との関わりの中で、主人公は作詞の表面的な技術を学ぶ。その後、彼女は創作という行為の持つ深淵について学び、さらには自分の心の中にある闇を見る。それは創作をする者にいつか訪れる、内なる世界への参入の儀式、イニシエーションの瞬間である。

読者はこの本の読書を通じて、自分の世界の足下が崩壊するような、その恐るべき瞬間を仮想的に体験することができる。

『もう終わりだ。

こんなにも世界が真っ暗だったなんて、知らなかった。

いや、それは違うわね。真っ暗で、真っ黒だったのは私だ。世の中は何も変わっていない。私も何も変わっていない。唯一違うことと言えば、私が私の誤魔化しに気づいてしまったという、その一点』

『私が書く歌詞は、嘘と誤魔化しと自分を守るためのキレイゴトばっかり。(中略)……私はもう、歌詞を書くことはできないと思う。だって、全部嘘なんだもの』

主人公は師によって自らのエゴと向き合うよう導かれ、それを認識し、苦しみの果に、エゴを越えたより高い意識へと自らを上昇させることを決意する。この物語は美しい。

著者、仰木日向(おうぎ・ひなた)氏は作曲家であり、作詞家であり、『スーパーヒロイン学園』『作曲少女』などの小説作品を書いた小説家でもある。『作曲少女』は作曲をテーマにしたハウツー本的ラノベであり、『作詞少女』と世界観を共有している。この『〜少女』シリーズ、続きがあるならぜひ読んでみたい。

『作詞少女』は作詞と創作のエッセンスを読書によって仮想体験できる傑作である。同時に、実用的なハウツー本として有用な情報が詰まっている。なにより素晴らしいのが、「俺も何か作るぞ!」という情熱が本書を読むことによって沸いてくることである。

音楽だけでなく、広く創作というものを始めようとしている人や、もう始めている人、皆に本書をおすすめしたい。

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