トラックメイカーTKMTこと滝本竜彦の新曲『Love Me Free』完成!

トラックメイカー(車のトラックではなくて、音楽を作る人の意)TKMTの待望の新作がついに完成した。

曲の骨子はiPhoneのKorg Gadgetで作った。この作業には先日購入したKorg MicroKey Airが役だった。Bluetooth接続の小さなMidiキーボードを使うことで、自室のベッドで、スターバックスで、フリースタイルで縦横無尽にトラックメイクできた。

(ちなみに鍵盤のサイズは、鞄に入れて持ち運ぶのであれば37鍵がオススメである。37鍵以上のサイズは普通のバッグには入らない。25鍵の方がコンパクトではあるが、37鍵の方が伸び伸びと作業できる)

十分なだけのアイデアが生まれ、全体構成もある程度固まってきたところで、iMac上のKorg Gadget for Macに作業の場を移した。広い画面、大きな鍵盤、ドラム用のパッド(Korg NanoPad2)や、ミックスに役立つMidiコントローラー(Korg NanoKontrol2)を使うことで作業が楽になる。全体を見渡しながら曲の完成に向けて細かい作業を続けるには、やはりiMacが便利だ。

作曲は最初のアイデア出しは簡単にできることが多いが、この細部を詰めていく作業には時間と集中が必要だ。といってもこれは作曲に限らずだいたいの創作活動で同様のはずだが。

ポチポチポチポチとピアノロール上の横棒(正式名称不明。楽譜上の音符に相当するもの)を細かく細かく細かく修正していく作業を何時間も続ける。よくもまあ、こんなに集中力が続くものであると我ながら感心する。

作曲作業に没頭した意識状態は、小説執筆に没頭しているときとそっくりである。

今回の作曲はGadgetSonic2018というコンペに応募するためのものである。つまり締め切りがある。締め切り当日に、ドーパミン、アドレナリンが出まくった中で作業していく感覚は、小説関係の締め切り時に感じるそれと同様のものがあった。

私は二十代前半に小説を書きまくった。そのころ私は、自分にプレッシャーをかけまくり、その圧力によって作業を進めるという、一人ブラック企業的なシステムによって、創作活動を回していた。

それは、恐怖や欠乏感や焦りや不安というネガティブな感情的エネルギーを使い、それによって無理矢理自分を創作活動に向かわせるというシステムである。

このような心の使い方は長期的には精神力を磨耗させる方向に働く。よって近年では、私はできるだけポジティブなエネルギーを使って、健康的に創作活動のシステムを回すよう心がけている。

だが『締め切り』という、過去、自分の中に焦りと不安と恐れをかき立てるために大いに利用したスイッチが目の前にあると、半ば自動的にブラック創作モードが過去からの亡霊のように私の心の奥から立ち現れ、私を二十代前半のころのようなノーフューチャーな創作活動にかき立てるのである。

そのノーフューチャーなブラック創作モードに入ると、まず肉体の状態が大きく変わる。まるで戦闘中のような特殊活動モードに肉体が移行し、睡眠時間が短くなり、3〜5時間程度で目が覚めるようになり、まったくおなかが空かなくなり、コーヒーと甘いものを少しだけ食べる食生活に変わる。

で、その状態で何時間もぶっ続けで椅子に座ってパソコン画面を眺め続けるわけだが、このとき頭の中は靄がかかったようになっていて、時間感覚もおかしくなっており、朝がすぐ夜に、夜がすぐ朝になったりする。そして目の前にある作業以外は何も考えられない、よくわからない曖昧な状態でひたすら作業を続けていく。

今回の作曲活動でも、締め切り前はこんな特殊な意識状態で作業してしまった。実際、超集中したおかげで、とてもいい作品ができた。私はこのブラック創作モードが実のところ好きなのかもしれない。この状態の私は生きている感じがする。

だが、このモードに入るたび、私はとてつもなく心身ともに消耗してしまう。

本当はそんなに消耗する必要はないはずなのだ。

本当は焦りや不安や恐れというネガティブな感情をスイッチにしなくても、スッと超集中できるはずだ。

一人ブラック企業的なプレッシャーを自らに与えて、自分を消耗させなくても、スッと超集中創作モードに入り、しかもその状態で、日常生活を健康的に続けていくことが可能なはずだ。何かを犠牲にすることなく。

というわけで今回の創作活動では、今後のためのいくつかの目標を明晰に認識することができた。

  • 超集中創作モードからブラック企業的性質を除去すること
  • 超集中創作モードをホワイト化し、日常生活と調和をもって統合すること
  • それをすることによって心身が消耗するというより、むしろどんどん気力体力が回復して元気になるような創作活動のシステムをマスターすること

この目標を達成した暁には、私の創作能力は飛躍的に増大し、超いい感じになり、今後千年は働いていけるようになるはずである。

現在、作業中の『ライトノベル 〜光の小説〜』のゲラ直し作業も、焦らずノーストレスで、余裕を持って気持ちよく完了させたいものである)

というわけで、ではここで一曲、聴いてください。

トラックメイカーTKMTこと滝本竜彦の新曲、『Love Me Free』!

SOUND DESIGNER紙 2018年10月号のQ&Aコーナーに私の質問が採用される!

SOUND DESIGNER紙 2018年10月号のQ&Aコーナーに私の質問が採用される!

DTMerが読まねばならない二大雑誌のうちのひとつ、SOUND DESIGNER誌の10月号のQ&Aコーナーに、なんと私の送った質問が掲載されました!

うれしい!

ちなみに今月のSOUND DESIGner誌の特集は『リバーブ』

リバーブというと、あれですね、お風呂で歌うと反響していい感じになる効果、あれのことです。それを人工的に作る機材の特集です。

なんと昔(1940年代)は、本当に部屋の反響を利用してリバーブをかけていたんだって! そのためのリバーブ専用の部屋は、『エコーチェンバー』っていうんだって!

で、その後、1950年代には畳一畳の鉄板を共鳴させてリバーブを作る、プレートリバーブという巨大な機材が主流になったんだって。残響音が美しいため今でも世界中のスタジオで使われているみたい。

1970年代にはスプリング・リバーブという、その名の通りバネを使ってリバーブ効果を擬似的に生み出す機材が生まれたそうです。さらに1970年代後半にはデジタル・リバーブが生まれ、いろいろあって現代に至るという流れのようです。

ためになる〜!

そんなリバーブの歴史紹介の記事のあとには、『粋なリバーブが聴ける名盤14』なんてコーナーがあります。

Apple MusicかSpotifyでもやっていれば、すぐに聴いて確認できるので便利ですね。こういう歴史的名盤というやつを少しずつ聴いていけば、音楽的なセンスも磨かれていくかな〜?

一枚目にはビートルズが紹介されています。ちなみに私、ビートルズはぜんぜん聴いたことないです。なんか凄い影響を与えた人たちらしいよ?

三枚目はザ・ビーチボーイズの『ペット・サウンズ』。私、二十年ぐらい前に、なんかの名盤特集で見て、ビーチボーイズの他のアルバムをAmazonで買って聴いてみたんですけど、当時はさっぱり良さがわかりませんでした。今聴いてみたら、あるいはこのアルバムなら、良さがわかるかな〜?

四枚目は『クリムゾン・キングの宮殿』。これは私、高校生のころに聴きましたよ! たぶん大槻ケンヂさんのエッセイか何かの影響で聴いたんだと思います。これは結構、聴きました。

他に紹介されてる中で知ってるアルバムというと、あった!

エイフェックス・ツインの『Selected Ambient Works 85-92』! これは私の思い出のアルバムです。大学生のころ、よく聴いてました! 懐かしい! これとか、μ-ziqとか、スクエアプッシャーとか、そういうヤツですね。よく聴きました! 懐かしい!

次に知ってるのはフィッシュマンズの『宇宙 日本 世田谷』! これも死ぬほどよく聴きました。思い出深すぎて、聴き返したくない! なぜならこれは私が激鬱のときによく聴いていたCDなので、聴き返すとあの激鬱時代の気分を思い出しそうだからです。でもFishmansは本当にいいのでぜひ多くの人に聴いてもらいたい。

でさらにもう一枚、ザ・フレーミング・リップスの『ザ・ソフト・ブレティン』。これは一昨年ぐらいにApple Musicにおすすめされて聴いて、結構好きになってiPhoneにダウンロードしてます。なんていうか、綺麗ーな感じです。でもちょっと悲しみのフィーリングも感じられて、聴いてちょっと悲しくなるような曲多し。

というわけで紹介されていた14枚中、なんと5枚、すでに聴いていた! これは私、結構、音楽詳しい人間かもしれない。これからはもうちょっと自分の音楽についての造詣の深さに自信を持っていこう!

……というわけで、いろいろ面白くて役立つSOUND DESIGNER誌、いい雑誌です! DTMerそしてバンドやったり曲作ったりする人全員におすすめ!!!

超絶傑作!『戦国妖狐』

戦国妖狐は人生!

一日一冊、朝にスタバでちびちびと読み進めていたコミック、戦国妖狐を本日、ついに全17巻読破しました!

まじで面白い!!!!

凄い面白い!!!!

超深い!!!!

キャラも魅力的でストーリーも面白くて、しかも深い!!!!!

普通ね、バトルものは、勝った負けたの話になるわけですが、この戦国妖狐は超熱いバトルものでありながら、その主眼が『心の癒やし』にあります。

ですので、戦った相手と自分を深いレベルで癒やしながらバトルが進んでいく。これは凄いことです。戦いという相互に傷つけ合う行為の中で、互いの心が深く癒やされていくという矛盾が、少年漫画的インフレバトルの連続の中で見事に描き切られている!

バトルと苦闘というテーマが、その途中で己のエゴとの決別や、人格の癒やしへと方向転換するのは実は他の漫画でもよく見られる構造で、たとえば『プラネテス』とか、『昴』とか、『ヴィンランド・サガ』とかいろいろあります。バガボンドもそんな感じですね。

そういったエゴを強化する下降的な流れから、エゴをより高いものへと統合する上昇的な流れへと方向転換するタイプの物語として、戦国妖狐は私の中で分類されるわけですが、中でも戦国妖狐のヒーリング描写は、飛び抜けてリアルで、真に迫った感じがします。

実際のヒーリング感が作中にありありと表現されています。ここまでヒーリング感が見事にドラマの中に描き切られている作品はちょっと他に思いつかないです。

バトル的、ドーパミン/アドレナリン的表現と、ヒーリング的テーマをいかに融合するかということは、これから先の娯楽作品を作るにあたって避けては通れない部分であると私は思っています。

バトル/葛藤/苦闘という通常の物語的なフックと、ヒーリング/癒やしという苦闘の根拠を消滅させてしまう行為をいかにして物語の中に両立させるかについて、戦国妖狐にその一つの答えを見ることができました。

それはともかく、あー、面白かった! 万人におすすめの漫画!!

海猫沢めろんさん宅で、RAM CLEARの新作アナログゲーム、『ダイスニコフ』をテストプレイしました!

つい先日、アナログゲーム『ヘルトウクン』をヒットさせたアナログゲーム・クリエイター集団、RAM CLEARのメンバーに、友達の小説家、海猫沢めろんさんがいます。

本日、めろんさん宅に遊びに行くと、なんとRAM CLEARの新作ゲーム『ダイスニコフ』が完成直前ということで、テストプレイに参加させていただきました。

RAM CLEARのゲーム作家であるツムキキョウ氏とめろんさんのインストラクションに従って、ダイスニコフ初プレイ!

これがなんと、、、ものすごく面白い!!

前作ヘルトウクンと同様の世界観なためか、すっとゲームにのめり込むことができます。

ダイスを2個振って進めていくシンプルなゲーム性の中に深い戦略性があり、最初から最後までワクワクが止まりません!

初めてのプレイなのに大盛り上がりで楽しめました!

(ヘルトウクンも素晴らしいゲームです。ボードゲーム、対戦ゲームが好きな方にオススメです)

(ちなみに私は第一回ヘルトウクン世界大会で優勝した経験を持っています!)

百万畳ラビリンス

めちゃくちゃ面白い!

作者はComic LOの美麗かつクールな表紙イラストでおなじみの、たかみち氏。

ある日、気がつくと、主人公は無限に続く木造建築の中で目覚める。なぜ自分がここにいるのかわからないまま、どこまでも畳が続く建築物の中を主人公は探索していく。

映画、CUBE的なシチュエーションを和風にし、よりゲーム的にして、さらにほのぼの風味にした感じの話。

主人公の、世界に対する固定観念や先入観から自由であるという、アウトサイダー的性質が心地よい。

アウトサイダーであるがゆえに、世界や社会からまったく理解されず、常に浮いてしまう存在ではあるのだが、それでいて世界にも社会にも憎しみを抱いておらず、ただ自分の楽しみの追求に忠実というサッパリした性格。極めて魅力的な主人公の造形である。こういう人と友達になりたいものである。

上下左右や空間の繋がりがねじ曲がり、ループしているこの世界の構造はまさにゲーム的で、そのゲーム的世界の構造やルールがしっかり描写され、それが冒険の中で少しずつ開示されていくプロセスに、読んでいて強いワクワク感を覚える。

畳がどこまでも続いていくというヴィジュアル・イメージに、筒井康隆の『遠い座敷』とかで描かれたような、日本SFに古くからある集合無意識的なヴィジョンが表現されており、その世界に郷愁や居心地のよさを感じる。

また、読んでいて、脳の普段使っていない場所を刺激されるような、新世代の娯楽作品が持つ、超次元的な雰囲気を強く感じる。

美しい絵、引き込まれるストーリー、魅力的なキャラを追っていくうちに、この自分の日常的な意識にも、何か新しい変化が生じそうな、娯楽的であり啓発的である漫画。

とてもいいもの読みました!

水上悟志 戦国妖狐8 第45回『幽界』に見る複人格統合のワーク

人間の心の中は、通常、いくつもの人格に分裂している。その分裂したそれぞれの人格を、複人格、サブパーソナリティと呼んでおく。

なんらかの作業がしたいのに、どうしてもそれをすることができない。
これこれの目標に向かって活動したいのに、なぜかやる気がでない。

こういった、誰もが感じるジレンマは、だいたいにおいて、副人格のそれぞれがバラバラの目標に向かっているために生じる。

主導的な人格がこれこれの目標を達成しようとしても、副人格が抱いている目標がそれと真逆であるとき、副人格は主導的な人格の目標達成を妨害する方向に動く。結果として、やりたいことがやれない、あるいはやりたくないことをやってしまうという現象が起きる。

このような人格内での葛藤に対して、二つのアプローチがある。

1つ目のアプローチは努力と根性で無理やり、その葛藤を乗り越えるというものである。これは短期的には目標達成という結果を出すことがあるが、長期的に見たときマイナスに働く。なぜなら、主導的な人格が、副人格を無視して、ひとつの目標に向かったとき、副人格は心の中でより頑なに、それに反する目標に向かう力をつけるからである。

心の中の葛藤を無視し、副人格を力で押さえつけ、努力と根性によって、一つの目標に向かったとき、主導的人格と副人格の間にある葛藤はより大きくなり、それらの間にある分裂はより大きくなっていく。そしてしまいにはどれほどの努力と根性を出しても、心の中の葛藤を無視することができなくなり、心を機能的に働かせることができなくなる日が来る。

そのような状態は燃え尽き状態とか、スランプ状態などと呼ばれる。

取り返しがつかないレベルで、そんな状態になってしまったとき、つまり心の中での自分同士の戦いが限度を超えて大きくなってしまったときは、以下に書く2つめのアプローチによって、自分同士を仲直りさせるしかない。

2つ目のアプローチは、心の中にある人格間の葛藤を、話し合いによって融和し、ばらばらになっていた各種の人格を一つに統合することである。その話し合いは心の中で行われるため、その作業は一種の瞑想的な活動となることが多い。

そのような瞑想的作業による副人格の統合の具体例が、今、私が楽しんで読んでいるコミック、戦国妖狐の8巻に収録されている第45回『幽界』に描かれていた。以下、さっと紹介する。

心の中に千の闇を飼う千夜は、闇との対話に長けたしんすけの導きに従って、人格の統合作業を始める。

畳に横になり、まずは全身をリラックスさせる。深く脱力したら心の焦点を、副人格がいる幽界に向かわせる。そして幽界にて副人格と対話する、という流れである。

また、その対話の作業のあとには、町を散歩してグラウンディング、つまり地に足をつけて来いという趣旨のアドバイスがしんすけからなされる。

この一連のシーンは実際に機能しそうなワークとして現実的に描かれており、それでいてファンタジックな冒険活劇としてのコミック本編とシームレスに融合している。

現実的な癒やしの具体的プロセスを、ファンタジックな娯楽ストーリーに融合する手腕に、読んでいて大いに感銘を受けたのでここにメモしておきます。